楽天とKDDIの提携の本当のヤバさが分からない人向けに解説。質問回答集まとめ

楽天とKDDIが業務提携するという大ニュースが2018年11月1日に発表されました。これはとてもすごい歴史的なことで、非常に意味のある、経営戦略的に面白い&賢い戦略であります。

が、一般の方や通信・IT業界があまり分かっていない方にとっては分かりづらい部分もあり、「au会員にはどんな影響があるの?」や、「楽天モバイルは回線がdocomoじゃなくauになるの?」など色々な疑問が湧いてくると思います。

そこで、私が分かる範囲でQ&A形式で解説します。

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Q. 楽天とKDDIの提携による両社のメリットは何?

これは競合する部分以外で両社の弱い部分を補完し合い、その結果両社が成長することで、NTTやソフトバンクといった他社を蹴落とせる可能性がある、ということです。

携帯業界に新規参入する楽天は、楽天市場を基盤としたロイヤリティの高い顧客や金融なども含めた巨大なエコシステムという経済圏を持っています。一方で、新規参入がゆえにこれから通信設備を自前で用意しなくてはならず、時間とお金がかかります。サービスの開始が近づく中で、ここがネックになっていました。

特に、携帯電話の電波の人口カバー率を一定以上にするように総務省から約束をされて新規参入を認められた経緯があるので、ここは必ず守らなければなりません。そこで、ローミングという他社の通信設備を借りる(相乗りするような)ことが必要で、NTTドコモ、ソフトバンク、KDDIのいずれかと契約することが必須でした。いずれかの会社から仕入れて巨額の費用を払う、ということが確定していたわけですが、なんとそこに提携という一方的でないクロスの取引を持ち込めたのも、楽天としてはメリットというかかなりうまいやり方です。

一方のKDDIは、通信事業は順調なものの、eコマースや会員を軸にした他サービス展開といったエコシステムの形成に遅れを取っていました。NTTドコモはDポイントを軸に急拡大していますし、ソフトバンクはYahooと組んでショッピングやポイント、決済などを急成長させています。

KDDIは一応、Wowma!(ワウマ)というネットショッピングを自前で持っていますが、正直いまいちですし、これから拡大していくキャッシュレス、QRコード支払いなどの分野でもパッとしません。

そこで、楽天と組むことで自社の弱いネットショッピングの物流や決済を楽天に助けて貰うことで、その上のサービスであるau会員へのネットショッピングの提供という部分で価値を高め、楽天を含め他社と戦うわけです。

また、楽天にローミングとして通信設備を貸し出すことにより、その接続料が収入として入ってきます。KDDI社長の話によるとこれが結構な額であり、KDDIとしては非常に美味しいわけです。

Q. 楽天とKDDIは競争しないってこと?出来レース?

先ほども書きましたが、互いの弱い部分を補完し合うことで、両社のサービスの質・価値を向上し、競合分野においては純粋に戦い合う、ということです。

KDDIがネットショッピングのWowma!(ワウマ)を見捨てたわけでないですし、楽天も携帯電話事業でKDDIに従うわけではなく独自のサービスを強化し、両社で競争し合います。

特に、ローミングについては、楽天が自前で通信設備を構築出来たら、順次切り替えていくと書いてあるので、数年後はローミング契約については提携がなくなり、純粋な強壮になるのは明白です。

Q. NTTドコモとソフトバンクにとってこの提携は痛い?

はい、かなりの脅威になり得ます。

NTTドコモは、ポイント、ネット通販、金融、決済などほとんどの事業分野で楽天と真正面から競合します。完全な殴り合いのバトルです。なので、MVNOの楽天モバイルに回線を卸しているとはいえ、楽天がMNOの参入を決めた後に、ローミング契約はさせたくない、というような強気の発言がありました。楽天の幹部の訪問も門前払いしたという報道もあります。完全に強気でした。最終的に泣きついてきたら、高い金額でふっかけようと考えていたのかもしれません。

また、KDDIについては携帯を含む通信事業以外ではたいした競合相手ではないと考えていたかもしれません。そこに、楽天の力を借りてKDDIが戦いをしかけてくる、ということで競合が増えたことにより、今後厳しい戦いを強いられます。

ソフトバンクについてはYahooを持っている関係から、NTTドコモ以上に楽天と競合する分野が大きいかもしれません。なので、楽天とは組みづらいですし、ビジネスだからと言い切ってもローミングを提供する、というのも難しい選択だったはずです。

結局、NTTドコモと同じく、今回の提携によりKDDIの勢力が増す構図を許してしまう結果になりそうです。

もちろんローミングについて3社のどこかの会社と組まなくてはいけない、ということは各社分かっていたので、様々なシナリオを検討していたとは思いますが、ただローミングを契約するだけでなく、提携というさらに一歩踏み込んだ戦略を楽天とKDDIが組む、というのは少し予測しづらいシナリオだったのでは?と思います。とはいえ、結果的にはこういった一歩踏み込んだ提携という戦略まで実行出来るのはKDDIしかいなかった、というのも分かっていた事実ではありますが。

KDDIの社長が「競争ではなく、協争」と発言したように、これは明らかにNTTドコモとソフトバンクへの対抗を強く意識したものです。楽天がNTTドコモとソフトバンクのシェアを奪い、KDDIは奪われるシェア以上に他の分野で稼ぐ、ということです。

Q. で、通信業界の未来はどうなるの?

それは誰にも分かりません。今回の楽天とKDDIの提携が、今後の通信業界、さらにはIT業界での勢力を大きく変えるターニングポイントになるかもしれませんし、結局うまくいかずたいした話じゃなかった、となるかもしれません。

みなさんが歴史の観察者です。

Q. 決済分野での提携のメリットって?

キャッシュレスやQRコードなどの、いわゆるFinTech(フィンテック)は現在急成長の分野です。お店側に端末の導入が必要なものなので、シェア争いが熾烈です。より大きいシェアを確保したいと各社必死です。

そこで、楽天は自社のR Payという決済手段をKDDIに導入してもらい、シェアの拡大を目指します。

また、決済ゲートウェイという観点からは、au PAYというKDDIが提供予定の決済手段も自社が提供している端末に加えることにより、その手数料が入ります。もちろん、R Payを使ってもらいたいところですが、他の決済方法を選択して逃げてしまう人達からの取りこぼしを防ぐべく、au PAYも選択肢に加えることでしょう。

楽天がキャッシュレスやコード支払いなどの覇者となる道が見えてきました。

一方で、ユーザーにとっては支払い手段の多様化というニーズがあります。自分が利用したい決済手段がそこに用意されていること、がユーザーにとっての利便性向上につながります。

Wowma!(ワウマ)を始めとするKDDIの提供サービスで、決済手段が豊富になることは、ユーザーの満足度向上、さらには新規ユーザーの獲得が可能です。幅広い間口にして、より多くのユーザーを自社サービスに呼び込みたいのでしょう。

Q. 楽天モバイルの契約者に何か影響はあるの?

既存の契約者にはほぼ影響無し。が、将来的には影響あり!?

今回の提携により、NTTドコモはさらに楽天への対応を厳しくするというか、かなり激おこなはずです。MVNOである楽天モバイルはNTTドコモの回線を利用していますが、関係は完全に冷めきったものでしょう。NTTドコモとしては回線の卸を辞めたいくらいですが、政府の指導などによりMVNOへの回線卸しは適正に行わないといけないため、楽天モバイルも対等に扱わざるをえません。

KDDIもmineoなどのMVNOに回線を卸しているので、今後楽天モバイルがKDDI回線を利用したプランを展開する可能性があります。最近では突如、MVNO回線利用者へもテザリングの無料開放を行うなど、KDDIの態度はオープン化してきていますので、KDDIがMVNOの回線卸市場でも存在感が増してくる可能性があります。

ただし、MNOの楽天モバイルが開始された後の、MVNOとしての楽天モバイルはどうなるのかがまだ未定で分かりません。LINEモバイルを傘下にしたソフトバンクのように、サブブランドとしてMVNOの楽天モバイルを残す可能性もありますが、恐らくはMNOの楽天モバイルへ切り替えを促していくでしょう。ということで、結局は今回の提携などとは関係なく、楽天モバイルユーザーは将来的には、MNOの楽天モバイルへの切り替えというイベントが待っている可能性が高いです。

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